徳島県南部の沿岸は深刻な磯焼けが起こり、藻場は魚貝類にとって大切な住処や産卵床になり、海の資源を復活させる重要な役割を担っているため、磯焼け対策が急務となっています。そこで美波の磯を守る会は、海水中の鉄イオン不足が磯焼けの原因の一つであることから、鉄イオンと栄養素の両方を供給することにしました。鉄板と鶏糞の乾燥ペレット(肥料)を麻袋へ入れ、藻がまだ残っている磯へ組合員が年2回(3月と10月)に50袋ずつ投入しました。その後、パックテストを数回行い、地元ダイビング企業が追跡調査をすると5月には藻が大きくなっている事が確認できました。海中で繁殖した海藻がCO2を吸収して地球温暖化防止に繋がることが専門家によって究明されているため、今後も継続して現在の活動を行い、環境改善に努めていきたいです。
アオリイカは日和佐町漁協を含めた県南漁業組合にとって主要魚種でありましたが、年々漁獲量は減少し、次世代の従事者を生み出すことが難しくなりつつあります。そこで、私たち徳島のアオリイカを守る会は、組合員や県水産研究課、企業と共に維持増進プロジェクトとして5月中旬に地元小学生20名へアオリイカの生態授業をした後、組合員と一緒にしばの木を束ねて300個の産卵礁を作り、船に乗って漁場2か所へ設置を行いました。7月には地元ダイビング会社が追跡調査をしたところ、産卵礁に沢山の卵を産み付けられていることが確認できました。今後も産卵礁の設置や生態授業を続け、資源保護への合意形成として釣り人へ保護の協力を呼びかける看板の設置をし、環境に対する活動の輪が広がっていくことを願っています。
徳島県での自然と人、人と人を繋ぐネイチャーゲームを中心としたシェアリングネイチャー活動を実践しているのは徳島県シェアリングネイチャー協会です。シェアリングネイチャー活動を普及、振興する目的の公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会の正会員団体です。ネイチャ-ゲ-ムは地球上に住む多くの子ども達、そして大人たちが自然を楽しみながら、その素晴らしさに感動し自然への理解と体験と豊かな感性を得るための環境教育プログラムです。ネイチャ-ゲ-ムは、自然に関する特別な知識がなくても自分の感覚で自然を楽しめるのが特長です。また、四季折々に森でも公園でも海辺でも見る・聞く・におうなどの感覚を通して自然を感じることができるため、子どもと大人が一緒になって自然をわかちあう(シェア)事ができます。県協会は1993年発会し約30年、シェアリングネイチャー活動をボランティアとして実施してきました。当初子ども達を対象に始めましたが、のちに親子、やがては幼児、高齢者も含んだ家族。最近は幼児の実践が高まり全体の60%をしめています。 このたび日亜ふるさと振興財団の助成金を活用して、幼児対象(保育所、こども園)の出前教室や、家族対象の定例会の一部を充実させたいと考えています。当年度の具体的な予定 (写真は2023年度分)出前教室:約20ヶ所・訪問数90回・・・ネイチャーゲーム・伝承遊び体験 定例会:1ヶ所・実施回数9回・・・ネイチャーゲーム・野菜作り・料理体験
江戸時代より昭和30年代まで徳島県南部では常緑広葉樹を原料として薪や炭を生産し、関西方面へ船で出荷する樵木(こりき)林業が盛んでした。特に上灘地域の樵木林業は、一定の太さの木のみを選択的に伐採することにより裸地化を防ぎ、シダの繁茂の抑制や林地の肥沃化のほか、治山・治水上効果的で、皆伐に比較しても生産性の向上等優位性があり、継続的、循環的な優れた林業でした。2017年樵木林業の再評価とその再生による地域の活性化をめざして有志により樵木林業研究会を設立。2018年「海部の樵木林業」として日本森林学会の“林業遺産”に登録されました。研究会では、古くからある木馬道の整備、モデル試験地の造成、残されていた土場跡地の整備、林業遺産登録の掲示板の設置、樵木林業の新しい遺跡調査等、林業遺産として継承していく環境を整備しています。また毎年、現地視察会、講演会、情報交換会を開催し、樵木林業をより多くの人に知ってもらい、さらに日本でも有数の規模を誇る常緑広葉樹林にあるニッポンタチバナやヤマザクラ等の保全にも力を入れていきたい。